poem - peace -
poetissimo
パレードが終わろうとしている
振り返れど誰もなく
パレードが終わろうとしている
きらめきとは程遠く
言葉だけを飾り付けた
ひとりきりの狂詩曲(ラプソディー )
華やぐ遠くの街に憧れては
心だけがあっけなく燃えて散った
どれだけの余白を埋めても
思いは強くなるばかり
パレードが終わる前に
最後の花火を
星々が消えようとしている
光震えど声はなく
星々が消えようとしている
夢で逢おうとさり気なく
静謐(せいひつ)を求め続けた
焼け野からの伝言(メッセージ)
姿奪われた命を踏み越えて
喜びを胸に踊れる今がある
どれだけの月日が過ぎても
祈りは強くなるばかり
星々が消える前に
明日も自由を
今日が終わろうとしている
灯りが家に手招く
今日が終わろうとしている
広がる夜は等しく
張り詰めた糸をほどけば
他愛ない会話(ダイアローグ)
優しいしじまも訳もない不安も
1ページも破れない物語
どれだけの折り目に擦れても
守りたいと想うばかり
今日が終わる前に
君におやすみを。
inori-ori
夕暮れ乗せた雲の鱗が
遠いあの街まで行くなら
言葉を噤む僕の代わりに
途切れた便りの続きを
どうか伝えてほしい
嵐は止んだか
良く眠れたか
静かな朝を迎えられたか
心を揺する灘は消えたか
寓話も愚話に書き換えられる世界が
ひとつになる平和よりも
君の明日を想っている
十五夜告げる夜の帳が
遠いあの街に下りるなら
言葉閊える僕の代わりに
小さな月の羅針盤を
どうか渡してほしい
また出会う為に
別れは細やかに
旅立つ人がとこしえに
恙なく幸せで在る様に
祈りも澱に呑み込まれる世界が
手を取り合う何時かよりも
君の明日を思い遣る。
言の花。
束ねられて麗しい花もあるが
野原で咲くままがいい花もある
首を揃え同じ方を向く
白黒だけの彩りは寂しかろう
摘まれてしまうな言の花
吹き抜ける風に擽られていておくれ
手懐けられて従う鳥もいるが
野山を翔けるままがいい鳥もいる
七色の声を持ちながら
一辺倒の囀りは虚しかろう
罠にかかるな夢想の鳥
夜は月影で羽を洗っていておくれ。
花笑み。
金網越しの沈丁花
春へ招くべく手を伸ばす
風冷えの中に色付いて
春の喜びを綻ばす
花の温もりを奪っていくのは
いつも人の手だと知りながら
錆びた時代を癒してくれる
石壁から根を張る花が
春はここにもと顔を覗かす
雨後の晴れ間にきらめいて
名も知らないままに見惚れる
人は籠の鳥に姿を変えど
咲き場所を選ばぬ花の様に
うねる潮目も笑っていたい。
PEACE IS MY HOME - for my dear -
傍らにいる
最愛の人を労り想う
小さな気持ち
それは
どんな感情にも遮蔽されない光
誰しもが持つ
代わりなき人の笑顔を守る
永遠(とわ)へのギフト
それは
あらゆる力にも切れない鎖
ひとりひとりが重ね合わせれば
平和はあなたの我が家になる
隔たりのない空に
鳴り響く鐘の音よ
明日も絶えるな。
FOLK SONG
風音に目が覚めて
不安を起こさない様にベッドを抜け出せば
また新しい朝が
雨の乾いたがらんどうの街に注いでいる
僕等の今日は
幸せになる為の旅の途中
名前のない季節に愛と名付けて
希望と絶望を行ったり来たりして
願いを掛ける
幸多き時の鈴生り
擦り切れそうになるまで指切りをしても足りない
この静けさに代えられるものはない
明日を描く事が
吐いた息の様に薄白く遠ざかっても
変わらずにいてほしい
悲しみに抉られた胸が安らぐ場所
僕等の今日は
細やかな幸せを守る為にある
馴染んだ仕草に恋の面影乗せ
終着(おわり)と始発(はじまり)を繰り返しながら
祈りを繋ぐ
忙(せわ)しき時の縁(よすが)
まばたきを忘れそうに目と目合わせても尽きない
この営みを断ち切れるものはない。
ペンジュラム。
「あなた」が心迷える時は
果てなく広がる空を
今日の地図に
愛と平和の祈念を
明日へのペンジュラムに。
市民の歌。
色とりどりであっておくれ
いと小さき者達が
短冊に寄せる未来
笹の下揺れる言の葉は
折り紙飾りに紛れ
切々と喜びを夢見ている
願いごと夜空に託す前に
日々こそが美しい星であれ
目を逸らさないでおくれ
街頭の少年が
プラカードに込める念(おも)い
真っ直ぐに前だけを見据え
「戦争に行かないぞ」と
風向きを変えるため掲げている
愚かな目論見手を貸す前に
さんざめく命守る世であれ。